こんにちは。
ガラスコーティング剤の独自ブランド(ゼウスクリア)を展開する日本ライティングの内藤です。
ガラスコーティングを自分で施工する方が増えています。
DIY施工や業者でガラスコーティング施工しても、しばらくすると、前より水弾きが悪くなったと感じることがあります。
「水弾き性能が低下=ガラスコーティングの劣化」と思う方が多いのではないでしょうか。
ガラスコーティングは、水弾き性能、防汚性、耐スリキズ性、耐久性などが高いことで知られていますが、水弾き性能の低下は、メーカー公表の耐久期間以下で起きることが殆どです。
この記事では、水弾き性能が落ちると本当にガラスコーティングは剥がれているのか。
その原因はどこにあるのか。剥がれの見極め方などをお伝えします。
目次
内藤
実際、メーカーが公表しているより早く剥がれてしまうことはあるのでしょうか。
島田
でもガラスコーティングの密着は、そう簡単に剥がれないよ。
ガラスコーティングは化学の力で密着しているから、塗装のように劣化してボロボロ剥がれることは無いといっていいい。
密着の原理がそもそも違うよ。
内藤
島田
たとえば、ガラス2枚を用意して濡らして貼り合わせると簡単に剥がれないよね。この引き合う力を利用したのが塗装と思っていいかな。
でも、ガラスコーティングは素材とコーティング剤の原子が結びつく。
内藤
島田
ガラスコーティングを施工して、ある程度経つと、水弾き性能が落ちてきます。それを見て多くの方はガラスコーティングが剥がれたと感じますが、実際は剥がれていません。
水弾きが落ちる一つの原因は、ガラスコーティング表面に付着した汚れです。
汚れには様々な種類があり、排気ガスなどの油性の汚れや雨ジミなどのイオンデポジットの付着により撥水効果は落ちています。
水弾き効果が薄れてきたら、真っ先にガラスコーティング被膜の汚れを疑いましょう。
一般的にガラスコーティングメーカーが販売しているメンテナンス剤を使用して汚れを落とします。
多くの場合、メンテナンス剤を使用すると、シャンプーでも取れない油性の汚れが除去できて水弾き性能が復活します。
そして、雨ジミなどのイオンデポジットが付着した場合は、ガラスコーティング専用のイオンデポジット除去剤を使用します。
どうしても取れない場合は研磨してガラスコーティングを再施工するしかありません。
内藤
島田
内藤
島田
ガラスコーティングはガラス被膜でボディを覆い、そこに撥水などの水弾き性能をプラスしています。それは、ガラスは水を弾かない親水性のため、トップコートに水を弾くコーティングをしています。
例えば、蓮の葉をイメージしてください。
なぜ、水を弾くのかというと葉っぱの表面に非常に細かい毛が生えているからです。
その微細な毛により蓮の葉に水や汚れがかかるとコロコロと転げ落ちます。
つまりこの原理を利用しているのが、ガラスコーティングの水弾き性能です。
ガラス被膜の表面に水を弾くように水弾き被膜が形成されます。この被膜は、ガラスコーティングの種類にもよりますが、シリコーンやレジン、フッ素などが用いられます。
水弾きが無くなるというのは、これらの水を弾く成分が損傷していることから起きます。
内藤
そうすると、それを元に戻すにはどうすればよいのでしょうか。
島田
メンテナンス剤が用意されないガラスコーティングは、もう一度コーティングを上塗りするとよくなるよ。
あと、メンテナンス剤を使用しても水弾きが悪い場合もコーティング剤の上塗りで復活するよ。
内藤
島田
その辺りを解説するよ。
ガラスコーティングを施工していると、汚れの付着が軽減されて洗車も楽になります。
水洗いだけでOKとしていても油分を含む汚れは水だけでは落としきれないため、シャンプー洗車が必要になるでしょう。
また、販売されている洗車道具にも注意が必要です。
特に、コンパウンド入りの水垢落とシャンプーは、汚れ落とし効果が高いのでついつい使いたくなる商品ですが、コンパウンドが入っているということは、塗膜を削っているので使いすぎると塗装は薄くなってしまいます。
現に、著者もそのような車に出くわしたことがあり、塗装が薄くなり下地が出るほど水垢落とし剤を使用した車がありました。
もちろんこれは非常に稀な状態ではありますが、コンパウンド入りシャンプーは研磨力があるということを理解しなければならないでしょう。
つまり洗車とは擦る作業なのであまり頻繁に繰り返すと、擦る強さにもよりますがガラスコーティングも剥がれてしまう恐れがあります。
また、中性タイプのコーティング車専用シャンプーなら、ガラスコーティングは落ちることはほぼありませんが、よけいな成分が入ると強く擦らなくても落ちる可能性があるので注意しましょう。
汚れ落とし用に様々なケミカル洗剤が販売されています。例えば鉄粉が付着すると鉄粉除去スプレーや鉄粉取り粘土を使用します。
これらを使用すると、頻度にもよりますが落ちてしまう可能性があります。スプレータイプの鉄粉落としは、鉄を溶かす酸を使用した溶剤なので効率よく落とせます。
酸は様々なモノを溶かす力がありますが、ガラス被膜は酸に強いことで知られています。
しかしトップコートは樹脂なので酸により劣化する可能性があります。
鉄粉取り粘土は、取り除く鉄粉でガラス被膜表面も擦るので削れる可能性があります。
このほか、イオンデポジットが付着すると、水垢落としシャンプーを使用しますが、ガラスコーティングに何回も使用すると剥がれ落ちてしまう可能性があります。
特に成分には注意が必要で、コンパウンドが含有される商品は削り落とす可能性が高くなり、アルカリ性であるとガラスとの相性が悪いので被膜に影響を与えます。
ただし、非常にやさしく擦る程度であれば、水弾き性能は薄くなりますが、ガラスコーティング迄剥がれることはほとんどありません。
また、アルカリ性洗剤は乾燥させて放置させるようなことが無ければ過度に心配はいりませんが、できるだけ使用は避けたほうが良いでしょう。
内藤
島田
ガラスコーティングには良くないと思った方がいい。
剥したくなければ洗車にはガラスコーティング施工車専用シャンプーを使用することだね。
ガラスコーティングは、ガラス被膜なので紫外線を浴び続けると次第に劣化して剥がれてしまうでしょう。
その期間は使用環境の違いで大きく異なりますが、メーカー公表の耐用年数での劣化は心配ないでしょう。
ガラスというと、UVカット効果があることで知られていますが、長期間紫外線を浴びると白っぽく変色します。
古い家のガラス窓や長く放置してある車のガラスが白くなっているのはそのためです。
ツヤがなくなってきたら、紫外線による破壊の可能性も考えられます。
ただし、紫外線の影響でツヤが無くなるには、メーカー公表の耐用年数以上経っていることが殆どなので、通常の保管状態であれば、耐用年数前にガラス被膜が破壊されることは考えにくいでしょう。
内藤
島田
でも、ガラスコーティングに悪影響を及ぼすといっても、長い目で見た時に話しだから過度に心配はいらない。
ここでは落ちる原因についての解説だから頭の片隅に入れておくだけでいいよ。
塗膜に薄いキズが付くとコンパウンドで磨いてキズを消します。これは、コンパウンドの粒子により、塗膜を削って薄いキズを削り取っているからです。つまり、コンパウンドでガラスコーティングを磨くと剥がれてしまいます。
ガラスコーティングの被膜の厚さは、0.1㎛程度と言われています。塗膜が150㎛前後なので、どれだけ薄いかご理解いただけるでしょう。
そして、肝心のコンパウンドの粒子の大きさですが、超極細目と呼ばれる仕上げ用のコンパウンドが1㎛程度と言われています。
つまり、ガラスコーティング被膜の厚さより大きな粒子なので簡単に剥がれてしまいます。特に、ポリッシャーを使い、ゆっくり研磨するとかなりの確率で剥がれ落ちます。
ガラスコーティングの質は、「どれだけ下地処理が完璧にできるか」にかかっています。
特に密着を高めるために必要な脱脂作業が不十分ですと、密着不良が起きて剥がれやすくなります。
密着は、ガラスコーティグの種類によっても異なります。
化学的に密着できる商品を選ばないと、密着が不十分で硬い被膜が形成されず剥がれてしまいます。
コーティングの質に関しては、市販品のガラスコーティングとガラス系コーティングでは全く耐久性が異なることを理解しましょう。
ガラス系とは、ガラスと付くのでガラスコーティングと思われている方も多いですが、基本的に、ポリマーなどにガラス成分を少しでも含むとガラス系となります。
つまり、ガラス系はガラスと名がついていても本物のガラスコーティングとは異なります。
また、市販品でガラスコーティングを探そうとすると、ほとんどが施工しやすいガラス系なので、それを使用して、剥がれやすいと勘違いしている方も多いと思います。
内藤
島田
だから剥がれやすさだって全く違うことを理解しておくといいよ。
内藤
その中で剥がれたと勘違いしてしまう原因として「汚れ」と解説して頂きましたが、もう少し具体的に汚れとの関係を教えてください。
島田
汚れの付着は、ガラスコーティングを施工すれば落としやすく、そして落とせばすぐにピカピカになります。
しかし、鳥の糞や虫の死骸は長く落としていないと、その部分の水弾き性能が低増します。
これは、ガラスコーティングのトップコートである水弾き性能が低下したことで起きる現象であり、ガラス被膜はほぼ問題ありません。
虫の死骸や鳥の糞は酸性の物質ですが、ガラスは酸には強いことで知られています。
そして、ガラスと同じ成分のガラスコーティングも酸に強いので、虫の死骸や鳥の糞でガラス被膜が損傷することはほぼありません。
しかし、トップコートは無機汚れの付着を防いでいますが、鳥の糞や虫の死骸は有機汚れなのでトップコートに固着してしまいます。
さらに、酸を含むそれらの汚れは、固着するとトップコートを劣化させるので水弾き性能を奪ってしまいます。
車の様々な汚れはガラスコーティングで防げるのか?イオンデポジット(水アカ、スケール汚れ)などの無機汚れと有機汚れについて解説
これが剥がれたと思う現認の一つでしょう。
車の塗装表面は酸性雨により劣化するため、ガラスコーティングを施工して酸性雨からボディを守ります。
無機質であるガラスコーティングは、有機汚れには強いですが無機汚れのイオンデポジットなどに弱い性質を持っています。
そこで、トップコートに有機質のレジンなどを使い無機汚れから守っていますが、酸性雨の酸はトップコートの樹脂を溶かすため、酸性雨の影響を受けて水弾き性能が奪われます。
劣化するプロセスは、酸性雨がボディに付着したあと、熱により乾燥して酸性濃度が高まり、この繰り返しで劣化が起きます。
しかし、酸に強いガラス被膜は、酸性濃度が強くなっても関係ありません。
内藤
島田
内藤
島田
ガラスコーティングが剥がれたと感じる要素としてこれまで説明してきた通り水弾き性能の低下でしょう。
水弾きが悪くなり剥がれたと感じたらメンテナンス剤を使用します。
メンテナンス剤は、各メーカーで販売されておりメンテナンスクリーナーとも呼ばれていますが、これらを使用すると水弾き性能が復活します。
ガラスコーティング施工車で、剥がれたと感じるときは、その理由を探ります。もし、コンパウンドを使用してしまったのであれば、剥がれていると言ってよいでしょう。
また、洗車を日頃から行う習慣があり、かなり強くこすって洗っていた場合は、その摩擦で剥がれてしまっている可能性もあります。
剥がれた理由が、剥す作業によるものであれば、再施工してみましょう。再施工でも脱脂作業は忘れずに行ってください。
関連記事:ガラスコーティングとは?メリット・デメリットや施工の注意点を解説
内藤
島田
ガラスコーティングの剥がれる原因は、研磨剤を使用して擦ることです。それ以外に汚れや時間と共に剥がれることはまずありません。
また、通常の洗車により剥がれることも稀であり、剥すにはガラスコーティングに擦るというストレスを大きく与えない限り剥がれることは無いと言ってよいでしょう。
そして、今まで「剥がれた」と感じていた水弾き性能の低下は、トップコートの劣化が原因であり、メンテナンス剤で元に戻ることがほとんどです。
ガラスコーティングの特徴は、一度施工すると剥すのが大変であり、自然に剥がれてしまうことはほとんどないことを理解しましょう。