こんにちは。
ガラスコーティング剤の独自ブランド(ゼウスクリア)を展開する日本ライティングの内藤です。
ガラスコーティングに対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
そのような声が多く聞こえてきます。しかし現実には、
「一番硬いガラスコーティングをしているのに、キズがついてしまった!」
という声が見受けられます。水はじきもあるし、光沢もある。たしかにガラスコーティングは効いている状態なのに、キズがついてしまうのはなぜなのでしょう。
この現実から2つの疑問が生まれます。
これらについて、解説していきます。
目次
一般的に硬い方が良いとイメージされるガラスコーティング。
これが真実なのかを探ってみます。まず、硬さの表示はどのようになっているのでしょうか。
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塗装やコーティングの硬さを表す尺度には「モース硬度」と「鉛筆硬度」の2種類があります。どちらとも硬さの中では、キズつきにくさを表すのに適しています。
しかし硬さを表す尺度が2種類あると知らずに、単純に数字だけで比べてしまっていることがあるので、注意が必要です。
現在主流になってきているのは、鉛筆硬度による硬さの表示ですが、より理解を深めるためにモース硬度についても解説します。
鉱物をひっかいたときの、キズつきにくさを表す尺度のことです。1~10までの10段階で、1が一番やわらかく、10が一番硬いことを表しています。
モース硬度1の代表的な鉱物は滑石(かっせき)で、人の爪(モース硬度2.5)で簡単にキズをつけられるほどのやわらかさです。
黒板用のチョークや手芸用のチャコに使われているとお伝えすれば、イメージができるでしょうか。
モース硬度10の代表的な鉱物はダイヤモンド。こちらはイメージしやすいですね。
鉛筆の芯で塗装面をひっかいたときの、キズつきにくさを表す尺度のことです。鉛筆は、紙に文字を書くときの、あの鉛筆です。
硬さは鉛筆と同じく、6B・5B・4B・3B・2B・B・HB・F・H・2H・3H・4H・5H・6H・7H・8H・9Hの17段階で表されます。
6Bが一番やわらかく、9Hが一番硬いことを表しています。9Hの硬度とは、9Hの鉛筆でひっかいてキズがつかない程度です。
では、モース硬度と鉛筆硬度の関係をみてみましょう。一般社団法人日本コーティング協会公式サイトの画像を参考にします。
この画像からわかるように、モース硬度2~5の間に、鉛筆硬度H~9Hがおさまってしまいます。鉛筆硬度で一番硬い9Hが、モース硬度の5程度の硬さしかないのです。
このように、モース硬度の数字と鉛筆硬度の数字は、それぞれまったく違う硬さを表しているとわかります。
車の塗装やガラスコーティングの硬度はどの程度なのでしょうか。鉛筆硬度を基準にみてみましょう。
車の塗装は鉛筆硬度で2H~4H程度。
国産車の塗装より外国車の方が硬い傾向や黒い塗装より白い塗装の方が硬い傾向があります。
しかし、全体的にみてもあまり硬くはありません。
もっと硬くすれば、キズを防げるのではないかと思いますが、そうはいかない理由があるようです。その理由とは、塗装の土台である鉄板やプラスチックが温度によって伸縮するからです。
硬くし過ぎてしまうと、土台の伸縮についていけず、いずれひび割れを起こしてしまうのです。
ガラスコーティングは鉛筆硬度で2H~9Hとなるのが一般的です。しかし、この硬度はガラスコーティング単体でのものです。
塗装に塗布したガラスコーティングの厚みは極めて薄く、最も厚いものでも1μm(1mmの1,000分の1)程度です。
髪の毛の太さが50~100μmですから、どれほど薄いかご理解いただけると思います。
これほどの薄さで高い硬度を保つのは無理があります。先ほどの画像の中で、ガラスコーティングがモース硬度で2.5~4.5となっているのはこのためです。
また、塗装の硬度とほぼ同じになっているので、温度による伸縮にも問題なく対応できます。
メーカーによっては鉛筆硬度で13H(モース硬度で6~7)と称しているガラスコーティングが存在します。
しかし、硬すぎるガラスコーティングには2つの難点があります。
1つ目の難点は、一般的に、硬いものはもろくなる傾向があるからです。モース硬度で一番硬いダイヤモンドでも、ハンマーでたたくとすぐに割れてしまいます。
ガラスコーティングの膜厚が極めて薄いことは先ほどの説明のとおりです。この薄さでとても硬い皮膜なら、キズがつくより先にパリパリと割れてしまうでしょう。
2つ目の難点は、塗装が土台の温度による伸縮へ対応しているのと同じように、ガラスコーティングも塗装の伸縮に対応する必要があるのは先に説明したとおり。
塗装の硬度からかけ離れすぎると、いずれひび割れを起こしてしまうのです。
これらのことから、塗装上に施工されたガラスコーティングはあまり硬くありません。
また、硬すぎるガラスコーティングは塗装になじまず、長期に渡って塗装を保護する役割を果たせないのです。
塗装やガラスコーティングは一番硬くても、モース硬度4.5までであることがわかりました。しかし、モース硬度の中では、全体の半分程度の硬度。
ガラスコーティングにキズをつけてしまうものは、少なくないようです。
ガラスコーティングより硬く、キズをつける可能性が一番高いものは砂です。砂の主成分である石英はモース硬度7程度。
車の塗装やガラスコーティングよりはるかに硬いため、容易にキズをつけてしまいます。また、塗装のくすみの原因になるキズは、洗車中についたものです。
洗車機を使ったときにつくキズは、ブラシやボディーにもともと付着していた砂が原因であることがほとんど。また、古いタイプの洗車機では、ブラシそのものが硬く、キズをつけてしまうこともあります。
さらに、手洗い洗車をしても、拭き上げ中に付着した砂がキズの原因になってしまうこともあるのです。
しかし、手洗い洗車によるキズは、ある程度の対策をすると防げます。洗車前は水をかけてしっかりと砂を洗い流し、なるべく短時間で終わらせるのが良いでしょう。
泡をたっぷりと使って、やわらかい素材のモップで洗い、ふんわりしたタオルで拭き上げるのがおすすめです。また、風が穏やかで、屋根がある場所なら、洗車中に砂がかかってしまう可能性をかなり減らせるはずです。
ガラスコーティングよりも硬いものには、簡単にキズつけられてしまいます。しかし、塗装の上にガラスコーティングがあるのは、無意味なことではありません。
ガラスコーティングが塗装よりも硬い皮膜になっている可能性はあります。また、硬いものが塗装に対して、いきなり接触してくることは避けられる可能性があります。
つまり、ガラスコーティングが犠牲となって、塗装を守ってくれる可能性は、十分にあるのです。
また、ガラスコーティングを傷めた程度のキズなら、ガラスコーティングをメンテナンスするだけで、修復できますね。
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ことがわかりました。そして、ガラスコーティングの役割は、塗装をキズから守るだけではなく、汚れや水はじき、ツヤや光沢を与えてくれます。
愛車をきれいに保てるのは、ガラスコーティングの大きな魅力です。
そんなガラスコーティング、ご自身で施工してみてはいかがですか?
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ゼウスクリアの特徴