こんにちは。
日本製LEDヘッドライトの日本ライティング内藤です。
※日本製LEDヘッドライトの特徴についてはこちらをご覧ください。
クルマのパーツを外しているとボルトやネジが回らないことは、よくあることです。
しかし外れないからと焦ってしまうと、本当に外すのが難しくなってしまいます。
回らない理由を考えれば、意外に簡単に外せることも多いのもボルトやネジです。
外れないボルトやネジの効果的な外し方と、失敗からのリカバリー方法をご紹介します。
今回もカスタムから鈑金、コーティングの数々をお客様にしてきた自動車業界に30年以上携わる小泉さんにメンテナンス・カスタムに使用する工具について解説していただきました。
小泉さんについてはこちらを御覧ください。
前回の記事はこちらです。
目次
内藤
軽トラマニア小泉
ボルトやナットは、熱のかかる部分、つまりマフラーやその周辺に使用されている遮熱版なんかはかなり苦戦するよね。
内藤
マフラーの遮熱版や下回りのアンダーカバーがサビていると、回した途端折れてしまいますしね。
軽トラマニア小泉
それじゃあ、どうやって回らないネジを外せばよいか解説するよ。
プラスネジを外すときに固く回らない場合、力加減を間違えるとネジの頭がナメてドライバーで回せなくなります。
しかも、ナメているネジを、さらにドライバーで回そうとするとさらに悪化し、そのネジが外せるのか不安になるでしょう。
プラスのネジを緩めようと力を入れてドライバーの先端が滑ってしまった場合、すぐに回すのを辞めれば、リカバリーができる工具があります。
例えば下の写真の工具は、ナメてしまったプラスのネジを外せるドライバーです。
似たような工具はホームセンターで多く売られているので、対策として一つ用意しておくとよいでしょう。
※写真の2本のドライバーを見ると先端形状が違うことがわかると思います。
上のドライバーはナメたプラスネジを回せる特殊な形状のドライバーで、下のドライバーは通常のプラスドライバーです。
この写真の工具は、ネジの頭にしっかりと押さえつけることで、特殊な形状をしたドライバーの先が、ナメたネジに食い込み外せます。
タイヤハウス内やアンダーカバーといった場所はクルマの走行で水がかかりやすくネジがサビやすいです。
これらの場所に使用されるネジは、ステンレス製のサビないネジを使用していると思っている方もいますが、クルマのネジには一般的にステンレスはほとんど使用されません。
それはクルマが鉄であることが大きな理由で、鉄に対して電位差が大きいステンレスを使用するとかえってサビやすいからです。
そのため、塗装やメッキされたネジが使用されているので、長年汚れたままの下回りのネジは、錆が発生し、回りにくくなります。
このようなネジは、頭がかなりサビているので、一目見てサビの影響で回らないことがわかります。
そこで、登場するのが潤滑剤です。潤滑剤は、ネジの隙間に浸透して滑りを良くします。
また潤滑剤は、固く締まっていても、毛細管現象でボルトの止まっている僅かな隙間からギザギザのネジ部に浸透します。
潤滑剤を吹きかけたら、ネジの頭に付着した潤滑剤をキレイに拭き取りドライバーが滑らないようにします。
サビている場合は10分程度放置すると、サビたネジ部に浸透し、摩擦係数を低減させるのでドライバーで回せるようになるでしょう。
これでも回らないネジで、頭がつかめる場合、バイスプライヤーで挟むと回せます。また、ニッパーで掴んでも小さいネジなら回せる場合もあります。
これらの掴む道具で回せない場合は、タガネなどを利用し、ネジを緩む方向に叩きます。これでほとんどのネジは緩むでしょう。
しかし、頭が平のネジの場合は、つかむこともタガネで叩くこともできません。
その場合、叩いても問題ない場所なら貫通ドライバーを使用し、ハンマーで叩くと同時に回す方向に力を入れます。
ボルトやナットがサビていて回らなくなる場所は、主にクルマの下回りです。
アンダーカバーやタイヤハウス内に止まっているボルトなどは、クルマの年式が古くなるほどサビやすくなります。
サビたボルトを外す場合、一番効果的なのが潤滑剤を吹きかけることです。
潤滑剤はボルトとナットのネジ部に浸透し、サビによる抵抗を減らして緩みやすくします。
ボルトやナットは、ラチェットレンチやメガネレンチの柄の長い工具を使用すると、回すこともできますが、柄が長いと大きなトルクが加わる代わりにボルトのねじ切れが起きる場合があります。
そこで、潤滑剤を良く浸透させてから回します。決してあせって回さないことがサビたネジを外すポイントです。
ボルトを外すときに、サイズが合わない工具を使用したり、スパナで強引に外そうとするとボルトの頭がナメてしまいます。
この場合はタガネなどを利用し、ボルトの頭を叩いて回します。
ボルトの頭を叩く方向は、反時計回りに叩けば、その衝撃で回るようになるので、緩んだ後はプライヤーなどの挟む工具を使い、回して外します。
タガネで叩くスペースがない場合は、バイスプライヤーで掴み回します。ただし、バイスプライヤーの挟むあごの大きさによりボルトがうまく掴めない場合があるので、掴めないと思ったらすぐに違う方法を考えます。
ボルトは、ナメてしまうとかなり外すのが大変ですが、一回り小さい12角のソケットを用意します。そのソケットをナメたボルトに打ち込みます。
奥まで打ち込めればよいですが、半分以上打ち込んだ状態でもラチェットレンチで回せます。
工具を一つ無駄にしますが、クルマのボルト穴を修正せずに取り外す方法として覚えておくとよいでしょう。
内藤
軽トラマニア小泉
内藤
軽トラマニア小泉
でも目には見えない小さな隙間が開いているんだよ。一番良い例が、オイル交換を下抜きで行うときに、オイルパンのドレンプラグを外すだろ。
でもガスケットが必ずある。ネジだけでは気密性が保てないからだよね。
内藤
軽トラマニア小泉
ボルトやネジが止まっている部分は、ネジ部が互いに噛み合いながらしっかり止まっています。
しかし、そのネジ部には、わずかな隙間があり、空気が入り込んで酸化が進みます。
そこに水分が付着するとさらに酸化してサビがネジ部に発生します。
普段は少しの隙間があるネジ部ですが、サビの発生で隙間のネジ部の表面の凸凹が激しくなります。
これにより、摩擦抵抗が高まりサビたネジは外れなくなります。
内藤
軽トラマニア小泉
そして、最後はサビでもろくなったボルトは回す力に耐えられなくなり折れちゃうんだね。
内藤
軽トラマニア小泉
内藤
軽トラマニア小泉
それじゃあ、折れたボルトやネジの修復の基本を解説するよ。
ネジやボルトが折れてしまった場合、サビていてもそうでなくても折れたネジの除去をしなければなりません。ボルトが少しでも残っていれば、バイスプライヤーで掴んで回すこともできる場合もあります。
しかし、ほとんどは、ネジ穴の修復が必要です。
折れたネジやボルトの除去は、ドリルを使い古い折れたネジをモンで取り除きます。
そのためにはまず、折れたネジやボルトの切断面が平らか確認します。というのも、平らでなければドリルを真っすぐ当て得られないからです。
平らにするには、グラインダーや、やすりを使い丁寧に平らにします。そして細いドリルを使用してボルトのセンターに穴をあけます。
もしずれていると、ボルトの取り除きは困難を極めるので慎重に作業します。
次に、折れたネジやボルトよりわずかに細いドリルを用意し、ネジをモンで除去します。
内藤
軽トラマニア小泉
ネジ穴から折れたネジの除去が完了したら、ネジ穴の再生をします。一般的にクルマのネジ穴の修復は、タップで問題ありませんが、ネジ穴に強度が必要な場合は、ヘリサートを使用します。
また、強度がない樹脂部分やアルミのネジ穴修復にもヘリサートは重宝します。
ネジ山修正には、ピッチとネジの太さに合うタップを用意し、ネジ穴に潤滑剤を吹き付けてから回して入れていきます。
この時に一気に入れるとタップが折れる可能性があるので、締めては緩めを繰り返しながら作業します。
締めて緩めるタイミングは、タップを回すと固くなります。固くなったら一度緩めます。この繰り返しできれいなタップを切ることが可能です。
内藤
軽トラマニア小泉
外せないボルトやネジは、無理して力を加えても破損させてしまうだけです。回せない理由があるので、まずは潤滑剤を吹きかけて時間をかけながら作業しましょう。
また、クルマのパーツには、打撃で破損する部分も多いので、回らないからとハンマーで叩きすぎるのも注意が必要です。
何事も失敗しないためには、慎重に作業を進めて焦らないことがポイントです。
その他の工具についての記事はこちらからご確認ください。