こんにちは。
日本製LEDヘッドライトの日本ライティング内藤です。
※日本製LEDヘッドライトの特徴についてはこちらをご覧ください。
今回は ロービーム用、フォグランプ用として2011年頃までにメーカーに採用されていたHB4タイプのハロゲンバルブについて、HB3との互換性やLEDバルブ製品選択時の注意点等をみていきましょう。
目次
内藤
島田
HB4のバルブについて説明していきます。バルブ定格出力は、「12V 55W(51W)」のシングルフィラメントのバルブです。
定格出力表記が、55W(51W)表記になっているのは、UN規則※の表示の12V 60Wに準じているためです。表記の違いであり、どちらも同じものとなり、特異性等はありません。
これは、以前は、試験電圧が「12.8V」であったのに対して、UN規則の試験電圧が「12V」であるためにW数表示が異なっているものです。※1958年国連欧州経済委員会が制定した自動車の構造及び装置に関する規則 (HB3も同様の理由となります)
使用用途としては、4灯式ヘッドランプのロービーム用、フォグランプ用として使用されています。ロービーム用としてHB4を使用しているときのハイビームはHB3であることが一般的です。
そのため、よくHB3とHB4の互換性を気にされることがあります。互換性については後述します。
また、HB4はフォグランプとしても使用されておりまして、補修パーツとしての市場ではロービーム用と比較して、圧倒的にフォグランプ需要が高いです。メーカー毎の傾向という程でもないですが、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱等の車両に1990年代半ばから2011年頃まで長きに渡って採用されてきたバルブとなります。
※現行車での採用はありません。
パッと見の見た目は非常に似ていますが、タイプが分かれていますので、しっかりと違いがあります。異なる点をみていきましょう。大きく分けて4点違いがあります。
・HB4 12V 55W(51W)※51W表記のモノもありますが、同じモノとなります。
・HB3 12V 65W(60W)
・HB4 ロービーム用/フォグランプ用
・HB3 ハイビーム用
・HB4バルブ先端にシェード有り(灰色の帽子のようなもの)
・HB3バルブ先端にシェード無し
※配光特性が異なります
・HB4 2本
・HB3 1本
上記のことからハロゲンバルブにおいて、HB3とHB4の互換性は基本的にありません。
ここで、「あれ!?」と思った方がいらっしゃるはずです。
たとえば、一部メーカーのハロゲンバルブではHB3とHB4を共用で売っているのでは?と思われた方がいらっしゃるかと思います。解説していきます。
一部メーカーの場合、「HB」という表記で販売されており、コネクター内側部のツメが無く、共用になっています。色付きのOリングを適宜付け替えることで判別できるようになっており、互換性を持たされているようです。
これは後述しますが、ハロゲン互換用LEDバルブ製品でも同様の方法で互換性を持たせています。
内藤
島田
内藤
島田
他のハロゲンバルブと同様に明るくするには配光の信頼性の高いLED製品を装着することをオススメします。
今回のHB4もLED化がオススメなのですが、当社含めて他のバルブメーカー様からもHB4の製品が販売されています。
多くのメーカー様が使用用途別に、「HB4 フォグランプ用」,「HB3/4 ヘッドランプ(ハイビーム使用を想定)」と品番を分けております。その理由としては、正しい配光を出ししっかりと明るく照射させ、安全に走行頂くために分けているものです。
(海外製品等は同一製品扱いしているものもあります)
ヘッドランプ用とフォグランプ用では取り付ける各ランプの配光特性が異なりますし、バルブ自体の配光制御も異なります。正しい配光でないとLEDの明るさを享受できないためです。
ヘッドランプ用をフォグランプ用に取り付け自体は可能となりますが、配光制御の関係でフォグランプ用であるにも関わらず、正しく地面を照射せず、対向車に迷惑をかけ事故を誘発する恐れもありますので、お控えください。
しっかりと車種別適合表、現車確認を行い正しい用途のバルブを装着するようにしてください。
内藤
HIDファンが多いと改めて感じるのですが、実際にはどうなんでしょうか。
島田
内藤
島田
また、実証実験をするのか!?好きだね。
でも、その姿勢は素晴らしいと思う。とことんすると良いよ。
また結果は教えてね。
2012年頃からロービームに取付けできるLEDバルブが各メーカーから発売されましたが、当時はHIDの明るさ・運転性に「LEDは使えない」というレッテルを貼られました。ただ、技術の進歩により明るいLEDバルブが開発されるとHID並の明るさを出すLEDが登場しました。
さて、2020年現在では、HIDと比べLEDはどのくらいまで実用性が上がっているのでしょうか。調べてみました。
取付けについては、LEDが話題になった当初から変わらず、LEDバルブの方が圧倒的に簡単ですね。詳しくHIDとLEDの取付けを見ていきましょう。今回検証で用いたものを紹介します。
●車種:ポルテNNP10
●取付け箇所:フォグランプ
●用いた商品:HID(他メーカー)、LED(日本ライティング)
●ケルビン数:HIDは6000ケルビン、LEDは6500ケルビン
結果からお伝えすると、10点満点で、
HIDは、7点。
LEDは、10点
今回取り付けをして感じた評価です。では、実際に取付け手順を見てきましょう。
運転席側のバンパー裏側のスペースは十分に確保出来そうです。ジャッキアップは行っていません。フェンダー下に手を突っ込む作業になるので、このままの状態でカバーを取り外して裏側を覗き込めるようにしました。
赤丸に囲まれている部分がハロゲンバルブHB4です。ポルテに関しては取り外し、取り付けは非常に簡単です。
配線が接続されているカプラのツメを押しながら引っこ抜きます。汚れていたり、砂埃や腐食があると抜けにくい場合もありますが、基本的には丁寧に扱えば破損するような作業ではありません。
カプラが抜けたら赤い矢印の向き通り反時計回りに回すとバルブのツメが外れて抜ける構造です。
バルブが外れたらHIDを点灯させる為のHIDキットを組み立てていきます。いわゆるバラストと呼ばれる部品ですが、予想よりも遥かに簡単でした。と言うのも、一つ一つの接続箇所がそれぞれ形状が決まっていて、付くようにしか付かないんです。説明書が無くても簡単に進められますね。
赤い丸のクワガタみたいな大きめのカプラを赤いカプラに接続します。この形状しか取り付け不可の為、迷いはありません。
次にHIDのバルブでバーナーに接続するカプラとバラストのカプラを接続します。これも形状が全く違うので迷う事は全くありません。
最後に車両配線側のカプラとバラスト側のカプラを接続します。ここまでは非常に簡単に進み、以上で電気回路は出来上がりですが、1つポイントがあります。
このカプラには極性があり、そこが逆の場合はHIDが点灯しません。そんな時は慌てずにこのカプラをもう1度外し、先程とは逆に接続してみて下さい。
接続した配線に間違いや不備が無いかを取り付け前に点灯確認を行います。またここでも1つポイントを紹介します。『空焚き』です。この状態で約5分ほど点灯させましょう。
理由としてはバーナー表面の汚れや油分を焼く事でレンズに装着しても内部に曇りを発生させない為です。
即装着した場合、レンズ内で汚れや油分が焼けて出た煙が曇りの原因となります。やらなくても良いとの意見もありますが、個人的には点灯確認と兼ねて行った方がベストだと思います。
約5分ほどの空焚きが終わったら取り付けしても大丈夫です。赤い丸の部分にツメを合わせて矢印方向の時計回りに回すとロック完了になります。
最終段階の作業です。
バラストは固定もせずに放置することは故障、放熱に大きく影響するため、風通しの良い場所、水がかからない場所に固定していきます。付属のブラケットとバラストを固定します。
赤い丸が3か所ありますが、こちらを付属のボルトとナットで固定します。
ブラケットの長穴を利用し車両にボルトとナットで固定します。配線は赤い丸のように結束バンドを利用して車両配線と一緒にまとめておくとトラブルも少なく良さそうでした。
基本的には左右同じ要領で取り付けは可能です。
3000Kのイエローフォグの点灯写真です。HIDを今回取り付けてみましたが、やはり手間や工夫は必要です。ですが、最近のHIDは親切な設計で、決して難しくはないようです。
構造上、LEDはとても簡単に取り付けが可能です。今回取り付けるのは弊社、日本ライティングのLEDバルブ(6500K、6400ルーメンのハイスペックモデル)です。
フォグランプ裏を確認します。
赤い丸部分が交換するバルブになりますが、こちらは現在ハロゲンバルブHB4が装着されています。HIDと比較するとLED本体は冷却ファンが装着されている分、本体サイズが大きくなってしまいます。
計測すると約15センチほどバルブ後方にスペースがあるので、LEDの装着も余裕で出来ます。
バルブの取り外しも非常に簡単です。
矢印箇所がカプラのツメが引っ掛かっている箇所なので、こちらを指先で押しながら引っこ抜きます。
カプラを引っこ抜いたら反時計回りの矢印方向に回します。バルブ本体の3つのツメが外れてバルブを取り外すことが出来ます。
LED本体を取り付けます。
一見してわかるほど、ハロゲンと比べ大きさが違います。日本ライティングのLEDはファン付きタイプですが、他メーカーのLEDにはファンレスの小さいLEDもあります。
LEDは自身の熱で自滅してしまうため、放熱性能は高いほうが良いので、日本ライティングでは素材、製法からこだわった作りになっているので、安定的に高い出力で明るい光を照射できる設計になっています。
取り付けも簡単で、本体の3つのツメを合わせて時計回りの矢印方向に回すだけになります。
配線は純正のカプラに取り付けるだけなのがLEDの魅力で、とても簡単です。
赤丸の箇所がLEDのカプラのツメになりますが、これがカチッとなるように奥まで差し込むのみで、基本的な配線の回路はOKになります。HIDとは違い非常にシンプルな取り付けで一歩も譲らない明るさがあるLEDは作業する私自身にも魅力的なアイテムです。
最後にLEDのドライブユニットの固定です。
丁度良く車両フレームにスペースがあり、業務用の耐水性、耐熱性に優れた両面テープで張り付けました。最近のテープは優秀で、車のパーツ取り付けで純正から採用されてるケースが多数あります。
LEDの配線の長さにも余裕があり、下手に結束バンドを使うよりもある程度、距離を保ってドライブユニットを固定するとちょうどいい具合に取り付け出来ます。
取付が完了し、点灯確認です。
HIDのバーナーと違い焼き入れ時間も無いので、作業時間としては約10分ほどでした。私の場合は作業慣れしている事もありますが、DIYでチャレンジする人にも無理なく装着可能だと思います。
今回の取付けで改めてLEDの作業時間、工程はHIDと比べ少なく初めてライトのカスタムをする方は取付面ではLEDがおすすめのアイテムです。
皆さんが最も気になる「明るさ」はどうなんでしょうか。点灯した車を前方から見た時の明るさを比較してみました。
こちらも10点満点で比較すると、
HIDは、10点
LEDは、8点
という印象です。
HIDは元々、LEDよりも強い明るさが強みで、検証前からこうなるのかなと感じておりましたが、かなり強い光を放ちます。ただ、点灯してからMAXの明るさまでタイムラグがあり、約5秒ほどは待つ必要がありました。
それに比べ、LEDは、安定した明るさを瞬時に提供してくれる所が魅力的です。
それでは、実際に運転席に座った状態で「本来の明るさ」「運転性」について調べて行きます。個人的には、運転席に座った状態で如何に明るく、広範囲を照らしているかが一番大事だと感じております。
運転席に座った状態で比較してみました。
●HID
前方への照射 7点
広範囲な照射 9点
●LED
前方への照射 10点
広範囲な照射 8点
HIDは、壁全体に光が行き渡り、広範囲を照らし出す印象です。色がやや青っぽい事から、特に目立ちます。道路標識もはっきり照らせるくらいの明るさはあるようです。
LEDは、前方を照らし出す明るさは非常に高く、見えやすさと言う点ではヘッドライト並みと感じるくらいです。上方を照らさない分、対向車にとってもそれほど眩しい印象は与えないように思います。
実際に運転をしてみた感想として、
●LED
視認性 10点
側道視界 10点
となり、それぞれ解説をします。
【HIDの走行動画】
【LEDの走行動画】
HIDは、LEDよりも、より前方を照らしてくれるので遠くを見る分には強い味方です。ただ、配光がLEDと比べ劣るためハイビーム並みに上を照らしている印象があります。手前と側道側がやや暗く感じました。
ロービームやハイビームであれば、より前方を照らす設計でも良いと思いますが、手前の明るさを求めるフォグランプではLED比べ見劣りを感じます。
LEDは、実走行を行うとLEDは非常に運転しやすく視界も良好です。単純な明るさではHIDに劣る面もありますが、視認性が非常に優れていて、配光が優秀なのがわかります。必要な箇所をきちんと照らし出してくれるLEDの強みに感じます。
比較検証を行った結果として安定した明るさを瞬時に提供するLEDと、タイムラグはあっても爆発的に明るくなるHIDにはどちらも一長一短があります。どちらが良くてどちらが悪いというものではありませんでした。
個人的な使用感としてはLEDが好みです。特に、瞬時に明るく照らし出してくれるのはせっかちな自分には合っていました。しかし、明るさのインパクト(正面から見た明るさ)と言う点ではHIDに軍配が挙がり、カスタムを行うのであれば、こちらもオススメできると感じます。
今回の検証でより感じたことは、色温度でも数値上はLEDの方が青っぽい明るさになる予定でしたが、実際はHIDの方が青っぽい印象を受けたことや、明るさも数値ではなく実際に運転をして感じた明るさでは全く印象が違うことなので、数値で判断するのではなく実際に使用している人の評価で自分に合ったライトを選ぶ事で、失敗せずに良い商品を選択できると感じます。
今回比較をしていない消費電力の面でも、オルタネーターの発電量が多くなればその分燃費にも影響を与えます。HIDよりも消費電力の少ないLEDは低燃費車が増えている分、更にアドバンテージがあります。
取り付け部品点数も少ないLEDは見た目もスッキリしていて、将来的にはより明るく長寿命、軽量コンパクトになる可能性秘めていますし、その先頭に立っているのが日本ライティングであり続けたいと、更に思いました。
内藤
島田
ただ、すごく参考になったよ。これからお客様から質問があった場合は、この検証を元に答えてあげるといいね。
内藤
・HB4はロービーム用、フォグランプ用の二つの用途があるが、ロービーム用は搭載車種が少なく、多くはフォグランプ需要
・HB3とのハロゲンバルブとしての互換性は無いが、Oリング等を用いれば可能。
・LED製品は用途に応じたモノを選択すること(フォグランプならHB4のフォグランプ用,ヘッドランプ用ならHB3/4共用のモノ)
・HIDとLEDでは、それぞれの特徴を踏まえ、好みの商品をお選びください。