こんにちは。
日本製LEDヘッドライトの日本ライティング内藤です。
※日本製LEDヘッドライトの特徴についてはこちらをご覧ください。
フォグランプ用として多くのメーカーに採用されているH8ハロゲンバルブですが、H11やH16との互換性やLEDバルブ交換時の注意点を気にするオーナーも多いです。
今回はH8形状のバルブについて解説をしていきます。
目次
内藤
同一形状バルブのH11,H16,H9との互換性に関して詳しいことはよく分かってないので、教えて欲しいです。
島田
H8のバルブについて説明していきます。
バルブ定格出力は「12V 35W」で、使用用途としては、フォグランプに使用されています。
取付けは、バルブ本体を取り付けて回転させることでロックと防水のできる交換作業が比較的楽なバルブです。国内の軽自動車に多く採用されています。
もちろん普通車での採用例もあります。メーカー毎の特徴が顕著というほどではありませんが、国内メーカーの採用傾向はあります。
軽自動車は、スズキ、ダイハツともに多くの車両でH8が採用されています。一方普通車はというと、日産車が多い傾向にあります。
主要車種でいえば、エルグランド(E52),セレナ(C27,H27)等の現行車両にも採用されています。
次に多いのは、ホンダがヴェゼル、N-BOXカスタム等で採用されております。あとはマチマチと言わざるを得ません。
トヨタ車はパッソやダイハツとのOEM車両のピクシスに採用されているくらいで採用車種は少なく、最近の車両であれば、H16が採用されいる傾向にあります。
基本的にトヨタ車のH16はVALEO社製のフォグランプに多いので、車両が採用しているフォグランプメーカーの違いによるものといえます。
H11やH9,H16とバルブ形状が4つともL字型になっていて非常に似ており、混同されがちですが、バルブの定格出力と口金寸法が異なります。
H16はガラス管の幅も異なります。以下に4つのバルブを比較しております。
定格は、12V 55W,24V 70W
口金形状は、PGJ19-2
ガラス管T11。
用途は、ヘッドランプ/フォグランプ。
※比較的古めの車両にフォグとしては使用していた
定格は、12V 35W,
口金形状は、PGJ19-1
ガラス管T11。
用途は、フォグランプ。
※H11と比較すると新しめの車両に使用されている。
定格は、12V 19W
口金形状は、PGJ19-3
ガラス管T9.5。
用途は、フォグランプ。
※比較的最近の世代の車両に使用されている。
定格は、12V 65W
口金形状は、PGJ19-5
ガラス管T11。
用途は、ヘッドランプ。
製造順としてはH11 ⇒ H8 ⇒ H16になります。世代が新しくなるにつれて消費電力が下がっています。
これは時代として年々燃費向上が求められているためです。H8が多く採用されてきたころから「フォグランプ暗いのでは!?」という論争が巻き起こりましたが、消費電力が少なくなっているので、当然といえば当然で暗くなっています。
各種、バルブ定格出力、口金形状、細かな寸法、用途も異なることから、ハロゲンバルブ同士での互換性はありません。
取付もさることながら、各種ランプレンズの耐熱性も異なり、適合するバルブを取り付けないとランプレンズが溶解する可能性がありますので、ご注意ください。
最悪の場合、車両火災になる恐れもあります。
内藤
ここで一つ疑問なのですが、輸入車のBMWってH8がかなり採用されている印象があるのですが、これは何でですか?
島田
補修パーツとしても出ているわけなんだけど、なぜ、多くの補修パーツが出ているのか、どこに使われているのか解説していくね。
BMW乗りの方であれば、ハロゲンバルブの中でもH8ときいてピンと来ている方もいらっしゃるかと思います。
BMW向けの補修電球の中でもハロゲンバルブのH8はよく売れています。(市場全体でみても)
そのからくりを説明します。
BMWのヘッドランプ内にある丸いリング上のデイライト及び、日本ではポジションランプ用として、エンジェルリング(通称 イカリング)にH8が採用されています。
搭載車種は、E系の1シリーズ、3シリーズ、5シリーズとなります。10年以上前の車両に多く採用されています。(LCIモデルを除く)
BMW乗りの中にはコーディングを行い、デイライト化している方もおり、バルブの消費は他のバルブよりも多い傾向にあります。
また、単純に発売から10年以上経過しているため、バルブ寿命を迎えている車両も少なくありません。そのため、BMWの補修電球としてH8はよく出ています。
F系車両からはヘッドランプのイカリングはLEDとなっております。
さらに、3シリーズのE46型以降からF系までのBMWのフォグランプにはこのH8が多く採用されています。
アッパーミドルセダンの5シリーズにもH8が採用されています。
理由としては、定かではありませんが、イカリング時に使用していたH8バルブをフォグランプにも使用し、部品コスト削減を図った、あるいは、フォグランプのバルブ消費電力を抑えて燃費向上を狙っていたためとも言われております。
世の中の燃費向上にBMWも乗っかったということかと思います。
内藤
HIDでも良いのか教えてください。
島田
他のハロゲンバルブと同様にH8を明るくする方法として、LED化をオススメします。
LED化をオススメする理由を説明する前に、LED以外に明るくする選択肢としてHID化という選択肢があります。
H8のフォグランプレンズの耐熱性として消費電力の35Wを想定して作られています。例えば、HID 55Wのキットを装着すると、レンズが溶けて溶解するリスクが高まります。
また、HIDの場合、一点に集中する熱量が非常に多いためリスクを引き起こしやすくなります。
明るくするにしてもH8のレンズに耐え得る製品を入れないとレンズが溶けたりするだけでなく、レンズが曇ったりとその他のトラブルの原因となります。
そのため、それらの不要なリスクを防ぐためにもLED化をオススメしています。
当社に限らずですが、多くのバルブメーカーがH8,H11,H16の共用LED製品を販売していて、どのタイプにも汎用的に使用できる点、ハロゲンやHIDと比較して省エネ且つ明るくなることからLED製品をおすすめします。
省エネであることからランプレンズの溶解リスクもありません。今は、ホワイトとイエローの2色切替フォグランプもラインナップとしてございますので、そちらもオススメです。
こちらの記事では色々なメーカーの2色切り替えの色味、明るさを比較しています。合わせてお読みください。
注意点として、BMWのような輸入車の場合、LEDに交換すると消費電力不足からか警告灯が光る可能性があります。その場合は抵抗を配線に挟む必要があります。
当社での取り扱いはございませんが、他メーカー品からは輸入車専用のLEDバルブも販売されています。
内藤
対策などがあれば教えてください。
島田
どんな不具合が起きるのか、そしてその原因と対策について解説しよう。
日産には、フォグランプの中にイルミネーションリングと呼ばれる通称イカリングが装備されたフォグランプをオプション設定しています。
このフォグランプに使用される光源は、H8のハロゲンバルブが使用されていますが、LEDバルブに交換するとイルミネーションに障害が起きる事例が報告されています。
イルミネーションとフォグランプの操作は、車内のライトスイッチにより行います。
通常、フォグランプスイッチがオフの時にイルミネーションが点灯し、フォグランプ点灯時はイルミネーションが消灯する仕組みです。
しかし、LEDバルブに交換すると、イルミネーションがフォグランプと同時点灯したり、フォグランプスイッチがオフにしてあるのにフォグランプが点灯してしまうなどといった不具合がおきます。
この症状が現れるのは、全てのフォグランプイルミネーションではありませんが、一部車種の回路には点灯切り替えにリレーを使用していない車種があり、このリレーがない車種ではハロゲンバルブをLEDに交換すると不具合が発生します。
そのため、一般に販売されているLEDバルブには、日産のリングイルミネーションに使用できるか注意書きがあります。
ただ、最近のLEDバルブはハイスペックモデルで消費電力が高い商品が販売されていますので、そういったハイスペックモデルを選ぶとこの問題を回避できる可能性があります。
そのため、LEDバルブの省電力化に気を取られ、消費電力の少ないLEDバルブを装着すると、不具合が起きます。
内藤
島田
内藤
やっぱりバンパーを外したほうが良いのでしょうか?
島田
作業する体制もかなりきつくなるから、慣れなければもちろんバンパーを外したほうが楽だよね。
でも一般ユーザーにはバンパーを外すことに大掛かりな作業と思っている人も多いよね。
内藤
でも、バンパーを外したほうが作業性は上がるなら、DIYで作業する人も失敗がなくていいですよね。
島田
フォグランプのバルブを交換する場合、右側を交換する場合はタイヤを左にいっぱいに切って行います。
反対に、左を交換する場合はタイヤを右にいっぱいに切ってから作業に入るようにします。
すると、ライナーと呼ばれるフェンダー内側の黒いプラスチックのカバーがあるので、それのフォグランプの裏側が現れるように外してからバルブ交換を行います。
しかし、軽自動車の場合、スペースが狭く作業性が悪いので、その方法より思い切ってバンパーを外してしまったほうが、簡単にフォグランプのバルブ交換ができることもあります。
一般的に軽自動車のフロントバンパーは、プラスチックのクリップで止められています。
ボルトで固定されているとすれば、フロントナンバー裏に1か所10mmのボルトで止まっている程度なので、かなり簡単に外すことができます。
バンパーを外してフォグランプのバルブ交換をするメリットは、バルブの装着を確実に行えることです。
それは、LEDバルブには取り付け方向があるので、車体にバンパーが取り付けてあると、調整が難しいことが挙げられます。
また、ドライバーユニットが別体の商品では、バンパーを外したほうが、固定を車体側のクロスメンバーと呼ばれるスチール製の骨格に確実に固定しやすいことから、バンパーを外したほうがスマートにそして綺麗に取り付けられます。
バンパーの取り外し方は、ほとんどの軽自動車ではグリルとフェンダー、そしてアンダーパネルに樹脂製クリップで固定されています。
ただし、車種やメーカーごとに多少取り外し方は異なるので、外す場合はどこに固定されているかよく確認しながら作業をすすめるようにしましょう。
内藤
島田
でも、ひとつ気を付けなければならないことがある。それは運転支援システムが付いたクルマだよ。
内藤
島田
これのおかげでブレーキアシストや前走車に追従なんて芸当ができるようになったけど、これが曲者。
今まで、修理工場で簡単にバンパー交換を行い済ませていた修理も、運転支援システム装着車は、バンパーを外すとエーミングという作業が増えてしまう。
内藤
島田
だから、エーミングと呼ばれる補正作業が必要になるんだ。
これを怠るとブレーキアシストの介入時期が早くなったり、車線はみだしをしても警告しなかったりなどの不具合が出る。
だから、バンパーを外して作業できるのは、運転支援システムが装備されていないクルマのみだね。
内藤
島田
・H8,H9,H11,H16のハロゲンバルブの互換性は無い。無理に取り付けるとレンズ溶解の恐れあり。
・H8,H9,H11,H16のハロゲンでは互換性は無いが、LED製品であれば共用となっており、レンズ溶解の心配はなく、安心。