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チッピングとは?チッピング塗装のメリット・デメリットも

チッピングという言葉には「切削加工における欠損」「車の表面に付く傷」「マット塗装」などの意味があり、それぞれ用法が異なります。マット塗装におけるチッピングは光沢感や艶感をなくしたマットタイプの塗装のことを示し、車に重厚感や高級感が出るのが特徴です。

当記事では、チッピングの意味とチッピング塗装のメリット・デメリット、チッピング塗装を施した車のお手入れ方法、コーティングの種類などを解説します。チッピングの意味が知りたい方や、車の塗装に興味がある方はぜひご覧ください。

チッピングとは?

チッピングという用語には、さまざまな意味・用法があります。複数の意味・用法を押さえておくことで、シーンに合わせて正しく使い分けできるでしょう。

ここでは、チッピングの意味・用法を3パターン紹介します。

切削加工における欠損という意味の「チッピング」

切削加工における「チッピング」とは、切削工具の刃先が小さく欠けることです。チッピングが起こると加工精度を落とすだけでなく、工具折損を招くケースも少なくありません。

チッピングの主な原因は下記の通りです。

・加工素材と工具がマッチしていない
・送り量が大きい
・刃先に構成刃先が溶着している

硬い工具は粘り強さがやや弱いのが特徴です。加工素材に対して工具が硬すぎると、粘りが足りずにチッピングが起こりやすくなります。また、送り量が大きいとその分工具に負担がかかり、チッピングや工具の劣化につながります。さらに、刃先に構成刃先が溶着すると、構成刃先とともに刃先も剥がれやすくなるため注意が必要です。

車の表面に付く傷という意味の「チッピング」

「チッピング」は、車体表面の小さな削り傷を表す言葉として使われることもあります。具体的な例として、走行中に小さな飛び石が当たり、車体が欠けた場合の傷などが該当します。

チッピングの主な原因は飛び石であり、バンパーやボンネットの前側、サイドステップの下側などに多い傾向です。前を走る車が小石を跳ね上げて接触するケースがほとんどであり、高速道路の走行中は特に発生しやすくなります。

チッピングにより表面が削られると、下塗部分やさらに奥の鉄板部分が白っぽく見えてしまいます。車体色がブラック・ネイビーなどの濃い色の車では目立ちやすいため、専用保護フィルムなどで対策するのも1つの手です。

マット塗装という意味の「チッピング」

車のボディ・パーツの塗装方法である「チッピング塗装」とは、光沢感や艶感をなくしたマットタイプの塗装です。もともとは飛び石などによる傷(チッピング)が引き起こす錆を防止する目的の塗装方法でしたが、近年ではデザイン性の高い塗装として人気を集めています。

通常の車の塗装工程では、カラー塗料の上から表面の保護と艶出しを目的としたクリア塗装を施します。仕上げに研磨剤を使って表面を平らにすることで、さらに光沢感や艶感を強くしているのが特徴です。

対して、チッピング塗装では艶感を消すためにクリア塗装の工程をなくしており、研磨も行いません。表面はザラつきやボコボコ感が目立ちますが、独特の質感によって重厚感が演出されます。最近ではチッピング塗装専用の艶のないクリア塗装が開発されており、お手入れが簡単になったり、外車のような高級感を演出できたりするのが特徴です。

チッピング塗装のメリット・デメリット

チッピング塗装にはさまざまなメリット・デメリットがあります。チッピング塗装に興味がある方は、それぞれの内容をしっかりと押さえた上で塗装を検討しましょう。

ここでは、チッピング塗装のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

メリット

チッピング塗装を施すことで、存在感が強く個性的なデザインが叶います。

チッピング塗装によって得られるメリットは、下記の通りです。

・周りの車との差別化を図れる
・重厚感・高級感を演出できる
・落ち着いたカラーでも存在感が強くなる

近年販売されている車は、基本的には艶感やパール感を目立たせた塗装が採用されています。艶感を消したチッピング塗装は存在感が強く、通常のメタリック色とは異なる魅力を感じられます。

チッピング塗装は独特の重厚感・高級感が魅力です。アメリカ車などの車体サイズが大きい車にチッピング塗装を施せば、さらに重厚感が増した迫力ある見た目となるでしょう。

また、「他とは異なる個性やインパクトを出したいものの奇抜なカラーは苦手」という場合は、チッピング塗装によって落ち着いたカラーでも存在感を演出できます。

デメリット

チッピング塗装は、通常の車と比べてメンテナンスの手間が大きくなります。

チッピング塗装のデメリットは、下記の通りです。

・頻繁に洗車をする必要がある
・洗車方法は手洗いのみ
・塗膜にダメージが蓄積しやすい

チッピング塗装の表面はザラザラ・ボコボコしているため、凹凸部分に汚れが溜まりやすくなります。きれいな状態をキープするには、こまめな洗車が不可欠です。

ただし、洗車機を使用すると表面が削られて光沢感が出てしまい、チッピング塗装特有のマット感が失われます。洗車の際は大量の水を使い、表面の塗装が剥がれないように優しく手洗いしましょう。

また、チッピング塗装は艶感の原因となるクリア塗装を省略しているため、カラー塗装面が紫外線などのダメージをダイレクトに受けます。艶を抑えたクリアやコーティングを施せるものの、通常よりも高額となります。

チッピング塗装を施した車のお手入れ方法

チッピング塗装を施した車は、一般的な塗装を施した車よりも慎重なお手入れが必要です。基本的な洗車方法は、カーシャンプーを使用しない水洗いです。水洗いでは落ちない汚れが付着した場合にのみカーシャンプーを利用しましょう。

チッピング塗装を施した車のお手入れで注意すべきポイントは、以下の通りです。

汚れが付着したら可能な限り早く洗車する
チッピング塗装の表面には汚れが付着しやすい上、放置すると凹凸の隙間に入り込んで落としにくくなります。汚れが付着したらこまめに水洗いしましょう。頑固な汚れがあれば、クロスを被せて70℃前後のお湯をかけるのも有効です。
カーシャンプーは中性・弱酸性を選ぶ
水洗いで落ちない汚れが付着した場合は、中性・弱酸性のカーシャンプーで洗車しましょう。また、ワックスやコンパウンドが含まれた洗剤は、マット感を損なう原因となるため使用を避けるのが無難です。
スポンジやクロスで擦りすぎない
チッピング塗装の表面を擦りすぎると、塗装が落ちる原因になります。柔らかい素材のスポンジやクロスに水をたっぷり含ませ、優しく汚れを落としましょう。
洗車後は水気をしっかり拭き取る
洗車後の水気を自然乾燥させると、水道水のミネラル分が水シミとなって残ります。チッピング塗装の車に限らず、洗車後は水気をしっかりと拭き取りましょう。また、雨水による水シミを防ぐためには、車を屋根付きの車庫や屋内で保管するのがおすすめです。

ボディカラーをダメージから守るコーティングの種類

チッピング塗装を施した車は、コーティングをすることでボディカラーをダメージから守れます。

コーティング処理によってボディカラーの傷や劣化を防げるのはもちろん、汚れを付きにくく・落としやすくすることも可能です。コーティング剤にはさまざまな種類があり、チッピング塗装用の艶なしタイプの製品も販売されています。

主なボディコーティングの種類は以下の通りです。

ポリマーコーティング フッ素・シリコンなどを含むコーティングです。ワックスと比較すると耐久性に優れており、3〜6か月ほど効果が持続します。施工時間が短く低価格であるため、気軽に取り入れやすいのがメリットです。DIYでの施工もできます。
ガラス系コーティング 成分の一部にガラス繊維を含むコーティングです。ポリマーコーティングよりも性能が高く、ガラスコーティングと比較すると低コストであるのが特徴です。専門店での施工が必要となりますが、コストパフォーマンスに優れたコーティングであると言えるでしょう。
ガラスコーティング 車の表面をガラス被膜で覆うコーティングです。紫外線ダメージや傷・汚れに強く、セルフクリーニング効果にも優れています。下地処理作業などが必要となることから施工には数日かかり料金も高い傾向にありますが、高いコーティング効果が2〜5年ほど持続します。

まとめ

チッピングとは、切削加工における欠損や車の表面に付く傷、マット塗装などの意味で使われる言葉です。マット塗装を表す「チッピング塗装」では、通常の車の塗装工程で施すクリア塗装の工程を省いているため、ザラザラとした独特な質感によって重厚感が生まれます。

チッピング塗装は落ち着いたカラーでも存在感が強くなり高級感が演出できるほか、周りの車と差別化を図れるメリットがあります。チッピング塗装は表面がザラザラ・ボコボコしているため凹凸部分に汚れが溜まりやすく、こまめな手洗いが必要です。洗車する際は、基本的に手洗い・カーシャンプーを使用しない水洗いで丁寧に優しく洗いましょう。

   
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