こんにちは。
日本製LEDヘッドライトの日本ライティング内藤です。
※日本製LEDヘッドライトの特徴についてはこちらをご覧ください。
「ヘッドライトをカスタムしよう!でも、このカスタム車検に通るの?」
カスタムをする際に車検について気にする方が多いのではないでしょうか。
ヘッドライトは、保安部品なので車検時には様々な基準で検査されます。しかし、保安基準を読んでも理解しにくく、途中で読むのを諦めた経験もあると思います。
今回は、車検時のヘッドライトの検査について「項目」「合格基準」について、保安基準を基に詳しく解説します。
目次
内藤
島田
内藤
光軸調整はしなかったのか?と聞いたら光軸調整では、どうにもならなかったらしいんです。
島田
内藤
島田
基準は、保安基準の適合性なんだけど、道路運送車両法に保安基準が定められていて公道を走行するなら、この保安基準に常時適合しなければならないんだ。
内藤
島田
ヘッドライトは、夜間走行する場合に、道路状況を把握する重要な装備です。
しかし、ドライバーが見やすいヘッドライトだけでは、周りへの悪影響が懸念されるので、細かくヘッドライトは検査されます。
ヘッドライト検査は、基本的にテスターでの検査です。
決められた方法でヘッドライトを点灯させて検査しますが、点灯方法やハイビームとロービームの切り替え、そしてライト点灯を知らせるインジケーターは、検査員が目視で確認します。
内藤
島田
ハイビームで走行すれば対向車に迷惑だからね。
もしインジケーターが点灯しなければ、ドライバーは現在の点灯状況が分からないからね。細かい部分もチェックしているんだよ。
内藤
島田
ヘッドライトの明るさの基準は、現在ロービームによる検査で行います。
そして、明るさの基準は最低光度が1灯につき6,400カンデラ以上必要ですが、上限の明るさに関しては特に数値として決められておらず、周りの交通の妨げにならない明るさと、保安基準の198条第6項に記載があります。
詳しくはこちらを御覧ください。
この6,400カンデラ以上の明るさは、ロービームを点灯したときに、前方15mにある道路上の障害物を確認できる明るさであることと、独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規程にあります。
ただし、平成10年(1998年)8月31日以前に制作されたクルマは、ハイビームで現在もヘッドライトのテストをするので、明るさの基準はハイビームを点灯して片側12,000カンデラ以上としています。
ただし、4灯式でハイビームにしたときにロービームが消灯しているタイプは、1灯15,000カンデラ以上と決まっています。
また、ハイビームの明るさは上限も決まっており、430,000カンデラを超えてはならないと規定されています。
これらの明るさでよく間違われるのがケルビンです。このケルビンは、色温度を表しているので、光量と全く関係ありません。
また光束を表すルーメンも表示される商品がありますが、これは光の量を表す単位で、カンデラの光の強さとは異なるので、車検では関係がありません。
内藤
島田
だからロービームを使うことが多いことからハイビームではなくロービームでの検査のほうが社会的に合致しているからなんだ。
それで1998年から各メーカーはロービームを基準にしたヘッドライトの設計が行われるようになったから、ロービームでの検査になったんだよね。
ライトの色味には様々あり、昔からあるハロゲンバルブは、電球色で黄色味がかっていますし、最近流行りのLEDバルブの主流は白色であり、その他にも青色や黄色、黄緑色などの商品が販売されています。
1980年代から2000年初頭にかけて純正ヘッドライトが黄色のクルマがありました。
そのため、2005年12月31日までに制作されたクルマは、ヘッドライトが白か淡黄色でもよいのですが、2006年1月1日以降に制作されたクルマは白色と決められています。
内藤
島田
2005年当時のニュースを思い出すと、国交省は、社会ルールを確立するためにフロントは白、リアは赤、そしてウィンカーは橙と歩行者などもクルマの認識がしやすいようにしたことが、この法改正の理由だったと記憶している。
クルマのヘッドライトは、照らす方法の基準も決まっています。
かつての保安基準では、走行中にヘッドライトが動いてはならないと規定がありましたが、2001年に国内で初めてAFS(先進前方照明システム)を搭載した実験車両について、国土交通省の大臣認定を取得しました。
そして、2002年10月25日以降に新型車の検査を受ける車両から、カーブ走行時に進行方向を照らす「配光可変型前照灯」の使用が国土交通省から認められ、保安基準が改正されます。
ヘッドライトを取り付ける高さは、ヘッドライトのレンズの一番上から地面までの高さが1.2m以下の高さで、下限は地上からヘッドライトレンズの一番下側までが0.5m以上の高さが必要です。
この基準は、バイクやサイドカー、取り付け困難な大型特殊自動車などを除く、一般道路を走る普通車や軽自動車に当てはまります。
ヘッドライトが照らす方向も、保安基準によりロービーム、ハイビームともに細かく決まっています。現在車検で行われるロービームの検査では、
「前方10mの位置において、当該照明部の中心を含む水平面より下方20㎜の直線及び下方150㎜の直線(当該照明部の中心の高さが1mを超える自動車にあっては、下方70㎜の直線及び下方200㎜の直線)並びに当該照明部の中心を含み、かつ、車両中心線と平行な鉛直面より左右に270㎜の直線に囲まれた範囲内」
非常にわかりにくい表現ですが、これをわかりやすくすると、10m先に立ったときに体に当たる光の一番強い部分が、ヘッドライトの中心から2cm下側で、縦15cm、横27cmの四角に囲まれた範囲になるような方向ということです。
この基準は、目視で判断するのは難しく、正確に知るには専用のテスターがなければ測ることはできません。
現在、ヘッドライトの保安基準は、ハイビームは100m先にある交通上の障害確認できる性能であること、そしてロービームでは、前方40mにある交通上の障害物を確認できる性能であることが保安基準198条によって決められています。
内藤
島田
自分も明るく安全に見渡せる光量が必要だし、周りに迷惑にならない対処も同時にしなければならない。だから、細かい規定があるんだ。
内藤
なんで純正なのに車検に通らないことがあるのでしょうか。
島田
まあ、端から保安基準に適合しないヘッドライトにカスタムしていると無理だけどね。それじゃあ、詳しく解説するね。
ヘッドライトが車検で不合格になる理由で多いのが、光軸がズレていることです。光軸とは、ヘッドライトの照らす方向を調整することです。
夜間、ヘッドライトが眩しい対向車を見かけますが、これが光軸のズレたクルマです。
現在の車検は、ロービームで検査を行いますが、このロービームは光が上方に拡散するのを防いでいます。
この上方への拡散を防止している部分と、光を照射している部分の境目をカットオフラインと呼びます。
カットオフラインは、壁に向かいライトを点灯すると、水平から左上がりになっています。
そしてこのカットオフラインは、ヘッドライトの高さより下になるよう調整されており、この調整に不備があると対向車が眩しく感じます。
一般的に、1%程度下側に調整されているので、10m先を照らした場合、カットオフラインはヘッドライトの高さより10cm下がるよう調整されています。
光軸がおかしくなる理由は、ヘッドライトバルブを交換した場合やヘッドライトを事故などの理由で取り外している場合に光軸がズレてしまいます。
そのため一度もヘッドライトを外していない場合やバルブを交換していないヘッドライトでは光軸がズレることはほとんどありません。
内藤
島田
だから、発光ポイントズレるから照射される位置も変わるんだね。
でもすべてじゃないから交換した後テスターにかけないとわからないんだよ。
ヘッドライトは、長く使っていると黄ばみが発生してヘッドライトが曇ったようになります。
これはすりガラス越しにライトを点灯している状態と同じなので当然暗くなります。
この黄ばむ現象は、ヘッドライトに使用しているポリカボネートが原因です。
ポリカボネートは、強度がガラスより高いことで知られる樹脂ですが、紫外線に非常に弱く、そのままではあっという間に劣化します。
新車の段階では、ポリカボネートを守るためにコーティングしています。
しかし、走行中の飛び石などでコーティングに傷がつくと、そこから劣化が始まりヘッドライトが黄ばみます。
バルブに問題がなくても、レンズ部分が黄ばんでいては、光量が十分に発揮されないため車検で光量不足と判定され不合格になります。
クルマをぶつけてしまい、ヘッドライトに損傷があると車検は通らないことがほとんどです。特にレンズが割れている場合や、ヒビがある場合は完全に通りません。
このほか、ヘッドライトユニットの取り付け部分の樹脂が破損していても車検に通りません。
「取り付け部分にゆるみやがたがあってはならない」
振動や衝撃で安易に光軸が狂ってはならないと保安基準第198条9項の11に記述されています。
ヘッドライトは、色、明るさ、取り付け位置のほか、照射方向も細かく決められています。
そのため、純正ヘッドライトからカスタムされたヘッドライユニットを装着した場合、規定に一つでも合致していないと車検に通りません。
特に多いのが、ヘッドライトバルブの色です。
白色と決められていますが、少し青味がかかっている場合や黄色味がある場合、車検対応品でも検査官が目視で、白色ではないと判定すると車検は通りません。
このほか、ヘッドライトの数は2個または4個と決められています。点灯する場合は、ロービームなら2個が同時点灯するよう決められており、4個点灯してはいけません。
また、ハイビームの場合も4個同時点灯もしくは、ハイビーム用のライトが2個点灯するよう決められているので、これ以外の数で点灯できるヘッドライトは車検に通りません。
内藤
でも、純正で3眼とか4眼のLEDヘッドライトがあるじゃないですか。その場合はどうなんでしょうか。
島田
このほかに、同じ灯具の中に2個以上の灯室がある場合、照明部の投影面積が当該照明部の投影に外接する最小四辺形の面積の 60%以上である場合は1個の照明としているんだ。
だから、3眼や4眼でも問題ないんだね。
内藤
島田
内藤
島田
車検で光軸がズレていると判定された場合、車検に出した整備工場で調整して車検を通してもらえます。
しかし、ユーザー車検の場合は、自分で何とかしなければなりません。その場合、自分で調整する方法もありますが、やはり整備工場で調整したほうが安心です。
光軸調整してもらう場合、車検場の近くにあるテスター屋さんと呼ばれる場所で調整が可能です。
また、テスター屋さんが見つからない場合でも、車検場の近くには、自動車ディーラーや民間整備工場があるので、光軸調整をお願いすると良いでしょう。
光軸調整で注意することは一般的にありませんが、少し古いクルマでリトラクタブルライトの場合は、光軸調整した後にヘッドライトを格納しないことです。
というのも、リトラクタブルヘッドライトは、開閉を繰り返すと光軸が狂うことがあるためです。
車検で光量が足りないと判定された場合、一般整備工場ではヘッドライトユニットの交換を進めてきます。
それは、光量が足りないヘッドライトのほとんどが、経年劣化の黄ばみが原因であることがほとんどだからです。
光量が足りないといわれた場合は、磨いて綺麗にしてから、もう一度車検を受けるのが有効です。
そのため、黄ばみがある場合、事前にヘッドライトクリーナーなどで黄ばみを取り除いておきましょう。
ヘッドライトバルブに問題があり、車検に通らないことがあります。
特にロービームで車検を行うようになってからは、バルブのカットオフラインに問題が起きることが多くなっています。
特に、海外製の格安LEDバルブを取り付けると、カットオフラインが出ないことが多く、車検に通らないでしょう。
ヘッドライトの点灯状態が悪いことがあります。
例えば、左右で明るさが異なると、暗い方は光量が足りないと判定されることがあります。
ヘッドライトを見て明らかに左右の明るさが異なる場合は、新品のヘッドライトバルブに交換しましょう。
このほか、ヘッドライトは点滅しては、ならないことになっています。
故障で点滅しているなら修理が必要ですが、点滅するようカスタムしていると、たとえ車検時に点滅していなくてもそのスイッチが付いていると車検に通らないので取り外す必要があります。
バルブのチラつきは、HIDヘッドライトに起こりやすいトラブルで、車検に通りません。
修理しなければなりませんが、HIDの場合、バーナーにあるのか、バラストにあるのか、それとも配線にあるのか調査が必要になります。
HIDにカスタムしている場合は車検前にチラつきがないか確認します。
もし、どうしてもちらつきが直らなければ、一度ハロゲンバルブに戻すことも視野にして修理したほうが良いでしょう。
最近はあまり見られませんが、左右でヘッドライトの色を変えている場合は、車検に通りません。特に白色と黄色のバルブを左右別々に取り付けている場合は要注意です。
そのようなカスタムをしていなくてもHIDでは左右で色が変わることがあります。これは、HIDバーナーの寿命なので、速やかに新品に交換しましょう。
内藤
島田
これらはオーナーが事前に改善して車検に望めるから、ヘッドライトの様子を確認してみるとよいかもね。
内藤
島田
輸入車に関しては、正規モノならいいけど、並行輸入車は注意が必要かな。それじゃあ、どんなことに注意すればよいか解説するよ。
旧車の場合、ヘッドライトの不具合で車検に不合格になる場合があります。それは光量の問題でしょう。
旧車の場合、ヘッドライトユニットのレンズが樹脂製なら、黄ばみに注意が必要です。
特に、高効率バルブを長年使用したヘッドライトの場合、内側からも劣化が進んでいる場合があります。
黄ばんでいる場合は、外側を磨いて綺麗になるか確認しましょう。
綺麗にならない場合は、ヘッドライトユニットの交換を検討しなければなりません。
しかし旧車の場合、中古のヘッドライトユニットでも高額になっていることがあります。
安く済ませたい場合は、レンズだけ交換できる社外品が販売されているので、安くリペアできます。
レンズを綺麗に変えても光量不足と判定された場合は、ヘッドライトバルブの問題のほかに、オルタネーターやバッテリーの不具合も考えられます。
発電能力が落ちていると、どうしてもヘッドライトをつけると電力が低下してヘッドライトが暗くなります。そこでおすすめなのがLEDバルブへの交換です。
LEDバルブならハロゲンバルブより少ない電力で点灯できるほか、ハロゲンバルブより格段に明るくなるので、光量不足で車検に落ちることはないのでおすすめです。
ハロゲンバルブからLEDバルブなどに変更している場合、カスタムしたバルブが車検に対応した製品なのか確認しましょう。
商品ページでは正常なカットラインと●●●ルーメンと明るさを謳っていても、実際は車検基準に満たしていない商品も存在します。
事前に確認することをおすすめします。
最近流行りのヘッドライトのインナーをブラックに塗装するカスタムですが、これは反射板のリフレクターをブラックにするわけではないので、光量に影響がないことから車検に関係ありません。
次にイカリングと呼ばれるプロジェクターランプの周りに取り付けるカスタムですが、これは検査官や整備工場によって見解が分かれます。
保安基準に照らし合わせるとすれば、車幅灯として申請すればよいですが、ディーラーではまず不可能です。
そして同じように、流れるLEDをヘッドライト内に取り付けた場合も車検は通りません。
基本的にヘッドライトをカスタムする場合、純正以外にライトが点灯すると車検は通らないと考えたほうが良いでしょう。
内藤
島田
とくに、流れるウィンカーは、保安基準に沿って制作すれば問題ないけど、ディーラーでは加工品ということで車検さえ受けられないことが多いかな。
ヘッドライトに、カラーフィルムを貼ってカスタムしているクルマを見かけます。
しかし、ヘッドライトは保安基準で、明るさが6,400カンデラ以上、色が白、そしてカットオフラインが出ていることと決まっています。
カラーフィルムを貼ってしまうと、残念ながらこれらの条件をすべて満たすのは困難でしょう。
特にヘッドライトの色の部分で間違いなく不合格になります。これは目視による検査なので、車検に出すときに、真っ先に指摘されるでしょう。
ヘッドライトを輸出用のユニットに交換するカスタムがあります。しかし、輸出用の場合、ほとんどが右側通行用のヘッドライトとして設計されているので、配光特性が異なります。
そのため、カットオフラインが出ない、または通常左上がりが右上がりになっているという状況になるでしょう。
輸出用を国内仕様に変更している商品ならよいですが、個人輸入などで購入すると間違いなく配光が異なるので、車検はNGでしょう。
ヘッドライトのマルチリフレクターからプロジェクターに変更する場合、ヘッドライトユニットを殻割する必要があります。
このような加工は、ディーラーでの車検はまずできません。
しかし、ユーザー車検では通る場合もあります。ただ、車検場の検査官の判断によることがほとんどなので、必ず車検に通るとは断定できません。
内藤
島田
だから、もしヘッドライトに大掛かりなカスタムをしているなら、純正品をワンセット用意したほうがいいよね。
そうじゃなかったら、車検時に新品のヘッドライトを取り付けられて、大きな出費になるからね。
かつての平行輸入車は、正規品より安いことがメリットでしたが、最近の並行輸入車は、国内に流通していない車種を購入したい場合に利用されることが多くなっています。
すでに国内にある並行輸入車を購入する場合に注意することは光量と光軸です。
かなりの確率で、どちらかに不具合が出ていることが多く、また、2015年の法改正でロービームの検査になったことから、並行輸入車ではカットオフラインが出ないことがあります。
並行輸入車を購入する場合は、車検を2年つけて渡してくれる業者を探すのが安心です。
また、その後の車検も、並行輸入車の面倒を見てくれる業者も探しておきましょう。
並行輸入車は、基本的に正規ディーラーでは点検できません。
というのも、正規輸入車でないので、国内にサービスマニュアルがないからです。そのため、正規ディーラーでは並行輸入車の車検を断ります。
内藤
島田
内藤
ヘッドライトは、何もしなくても車検に不合格になる恐れがあるパーツです。しかし、ヘッドライトは、純正状態であればそれほど心配する必要がないパーツでもあります。
見た目を大きく変えない、周りに迷惑にならない明るさであれば、明るくするカスタムは問題ありません。
そして、バルブをLEDに交換した場合は、必ず光軸調整をすれば問題ないでしょう。
ただし、国内メーカーのLEDバルブなどのように、信頼ある製品でなければカットオフラインが出ない恐れがあり、車検で問題が起きることを理解しておきましょう。