こんにちは。
日本製LEDヘッドライトの日本ライティング内藤です。
※日本製LEDヘッドライトの特徴についてはこちらをご覧ください。
工具は、使いっぱなしでは性能が落ちてしまいます。使用後は手入れが必要で、道具に合わせて行う方法や、その都度しなければ次に使うときにサビが発生して使えないことにもなりかねません。
このほか、工具の使う場所や使い方を間違えるとケガの原因にもつながるので注意が必要でしょう。
今回もカスタムから鈑金、コーティングの数々をお客様にしてきた自動車業界に30年以上携わる小泉さんに工具の注意点として、工具の手入れ方法から工具でやってはならないことについて解説していただきました。
小泉さんについてはこちらを御覧ください。
前回の記事
目次
内藤
特に、手入れも放置してしまった場合の対処などあれば一緒に教えてほしのです。
軽トラマニア小泉
同じように、本来の工具の使い方を無視した使用方法も工具を傷める原因になる。
内藤
でも、工具は過酷な使われ方をするじゃないですか。どの程度の手入れが必要ですか。
軽トラマニア小泉
でも、工具は使ってこそ真価を発揮するから、キズもつくし汚れもつくよね。それでは、最低限どんな手入れが良いか解説するよ。
工具は、使用していればキズもつくし、汚れも付着するのが当たり前です。使用する部位によってオイルやグリス汚れ、泥や砂ほこり、そして水分の付着もあります。
キズに関しては、工具の宿命なので気にする必要はありませんが、汚れの付着は工具の性能低下に繋がります。
例えば、工具のグリップにオイルやグリス汚れが付着すれば、工具を適正に操作できません。
ドライバーであれば回すことが困難となり、ラチェットレンチなら手が滑りうまく操作できないでしょう。
泥や砂などが付着した場合、工具と回すネジやボルトの間に入り込み、ネジやボルトを傷めるだけでなく、工具も傷めてしまいます。
工具やボルトなどを傷めないためには、使用中も汚れたら清掃できるように、汚れてもよいウエスを用意します。
そして、使用中にそのまま使用していると不具合が出そうな汚れが付着したら拭き取れるようにしましょう。
もちろん、作業終了後もそのまま工具箱に仕舞うのではなく、酷く汚れていないか確認して、汚れていたらキレイに拭いてから仕舞いましょう。
クルマをカスタムする際、急な雨に見舞われることもあります。また、路面などが濡れている場所で作業すると、工具が濡れてしまいます。
工具は鉄でできているので、水に濡れた状態で放置すると、翌日には薄っすらとサビが発生します。
水で濡れた工具は、作業終了後に乾いたウエスでキレイに水分を除去します。
また、プライヤーなど挟む工具は、可動部に水分が浸入して錆びを発生させ、次に使うときに固着して使用困難になります。
水分拭き取り後は、可動部に潤滑剤をスプレーしておくとよいでしょう。
工具を使用していると、注意して使っているつもりでも、いつの間にかサビが発生していることも珍しくありません。もしサビの発生を発見したら、表面を紙やすりなどで磨くとよいでしょう。
下の動画は、マイナスドライバーの先端に錆が発生した状態ですが、平らな場所に120番程度の紙やすりを置いて磨きます。
この作業を入念に行えば、サビはかなり除去できます。このほか、1,000番程度の水研ぎペーパーを使用し、水ではなく潤滑剤を使用して研ぐと、マイナスドライバーの仕上げ磨きに使用できます。
マイナスドライバーのサビを磨き取れば、下の写真のようにきれいに元に戻ります。
このほか、雨に濡れて放置すると下の画像のようにサビが発生します。このような赤サビは進行が早く、鉄を腐食させる原因になるので、見つけたらできるだけ早く対処しましょう。
赤丸の中が、今回新たに発生した水濡れによるサビです。放置すると可動部の動きが悪くなるだけでなく、鉄が浸食されもろくなり、最後は折れてしまいます。
できるだけ早く下の画像のようにサビ落としをします。120番程度の紙やすりを使えば、あっという間にサビは取り除けます。
サビは、広範囲に発生している場合がありますが、軽度であれば下の動画のようにスコッチブライトでこすればキレイにできます。
丹念に磨けば、かなりキレイにサビが落ちます。最後に潤滑スプレーを可動部に吹きかけて終了です。
内藤
軽トラマニア小泉
動画のマイナスドライバーとクリップリームーバーは20年以上使っているんだ。
あと、可動部は、下の写真のように定期的に潤滑剤を吹き付けておくと動きが悪くなるのを防げるよ。
ラチェットレンチを長く使用していると、動きが渋くなります。また、水分がギア内に侵入すると、内部にサビが発生してかなり深刻な状況になります。
ラチェットレンチの動きが悪くなったと感じたら、自分でオーバーホールしてみましょう。
※下の画像のタイプのようにネジでカバーが外せるタイプでなければ、DIYでのオーバーホールは難しいです。
この写真のラチェットレンチのように、ネジがあるタイプは、ギア内をキレイに清掃できます。
分解するには、プラスドライバーでネジを回しますが、工具によってはネジロックで止まっていて、そのままではネジが回りません。
その場合は、ドライヤ―を使用し、手で触ると熱いと感じるまで温めるとネジロックの効果がなくなりドライバーで回せます。
それでも難しい場合は、ネジ部に潤滑剤を吹きかけます。浸透するまで10分程度放置した後回してみましょう。
動きが渋いと感じるラチェットレンチは、カバ―を外すと画像のようにかなり汚れている場合が多いでしょう。
構成部品は非常にシンプルです。組み立てる自信がない方は、完全にばらばらにする前にスマホなどで写真に収めておくとよいでしょう。
すべて外してから、キレイに清掃します。清掃には潤滑スプレーが便利です。潤滑スプレーを吹きかけてからウエスで磨くと上の画像のようにきれいになります。
キレイになったら、組付けて注油します。この時に便利なのが潤滑剤ではなくミシン油やエアー工具のオイルが良いでしょう。潤滑剤は、埃などを寄せ付けるので、あまりお勧めしません。
内藤
軽トラマニア小泉
でも分解が難しいタイプもあるから、その場合は、工具メーカーなどに相談する方がいいよ。
内藤
軽トラマニア小泉
ネジやボルトなどを外す時は、外すものの規格に合った工具を使用します。
よく見られるのが、ボルトを外すときにプライヤーやペンチを使い外そうとする場合や、プラスネジをサイズの違うドライバーで外すといった具合です。
また、プラスネジやトルクスネジを回すために、サイズの小さなマイナスドライバーを差し込み何とか回そうとする方も見られますが、形状が全く違うためそのような方法ではネジを破損させる可能性があるので、やめたほうが良いといえます。
ラチェットレンチには、様々な種類があります。その中でクルマのカスタムに使用するラチェットレンチの差し込み角の大きさは、4分の1や8分の3のラチェットレンチを持っていればよいでしょう。
また、少し大きめのボルトを外す場合に2分の1といったラチェットレンチもあります。
これらのラチェットレンチは、上の写真のように大きさがかなり違います。右から1/4、3/8、1/2の大きさですが、どのサイズにも同じサイズのソケットが用意されています。
例えば下の画像は10mmのソケットをはめた画像です。
はめて並べてみると、ソケットのサイズは同じでも全体の大きさが異なるのが良くわかります。
この3つの工具ならどれでも10mmのボルトを緩めることは可能ですが、取り回しを考えた時に、小さい方が使用しやすいといえます。
そして、重要なことは、ボルトの締め付けトルクです。
柄が長い1/2サイズのラチェットレンチは、大きなトルクがかかるので固く外せないボルトには有効です。
しかし、締めるときには大きなトルクがかかるので、想定外の力で締め付けてしまい、ボルトをねじ切ってしまう恐れがあります。
逆に1/4サイズのラチェットレンチは、固く外せないボルトはかなり苦戦します。
しかし実際は、このサイズで外せないほどの固いボルトは17mm以上のサイズなので、1/4を使用するなら、アダプターを使用して差込口を3/8などに変換するしかないでしょう。
仮に変換した場合、大きな力を加えると、ラチェット内部のギアの破損などの恐れがあります。
逆に、締めるときには大きなトルクが掛けられないので、17mmといったボルトは締め付け不足の問題も出てきます。
このように、大きいラチェットや小さいラチェットを一つ用意して、すべてのボルトを外そうとしても無理があります。
ボルトのサイズによって使い分けるようにしなければ適正な締め付けが得られないほか、ラチェットレンチを破損させてしまいます。
対応のボルトの二面幅寸法は、1/4が3mmから14mmのソケット、3/8が5mmから27mm。1/2が6mmから46mmのソケットに対応しています。
しかし理想的なサイズは、1/4が5mmから14mm、3/8が8mmから24mm、1/2が14mmから36mmのソケットがよいでしょう。
ネジが緩まない場合、ドライバーの柄をハンマーで叩いてネジを回しますが、この時に叩けるドライバーは貫通ドライバーと呼ばれる柄の部分のお尻に金属があるドライバーだけです。
それ以外のドライバーの柄を叩くと、柄が割れて使えなくなってしまいます。
貫通ドライバーは、写真の上2本です。プラスドライバー、マイナスドライバーともに販売されているので、1本ずつ用意しておくと便利です。
工具を上の写真のようにハンマー代わりに使用すると、思わぬ破損やけがのもとになるので止めましょう。
左のラチェットでは、中のギアの破損の恐れがあり、真ん中のウォーターポンププライヤーは、滑って手を叩いてケガの心配があります。
そして右のモンキーレンチは、顎が変形してボルトやナットを適切に加えられなくなるでしょう。
叩く道具は、写真のようにハンマーがありますから、身近にハンマーがないからと、横着して他の工具で代用することがないようにしましょう。
内藤
軽トラマニア小泉
でも、ハンマーと違い、打点が滑りやすいから力が上手く叩く場所に伝わらないし、滑って他の部分を叩く恐れがあるからよくないよね。
工具を使用する場合、適正に管理しなければ次に使うときにうまく作動しなかったり、力を入れた瞬間に工具が折れてしまうこともあります。
工具が鉄でできていることを忘れずに、使用後は汚れを拭き取り、そして注油が必要な工具は適度に注油しましょう。
また、使用方法の誤った使い方をすると、ケガの原因やクルマのなんでもない部分にダメージを与えてしまいます。
工具は使用する場所と使用方法が決まっていることを忘れないようにすれば、いつまでも長く使用できます。
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